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体験談

自律神経失調症

(A・S氏/男性・当時29歳/自営業)

「焦らず、マイペースで」このアドバイスが私を救ってくれた

【症状】

私の自律神経失調症発症のきっかけは、会社での人間関係のもつれでした。薬学部卒業後、実家が営む小さな薬局を継ぐのが嫌で、両親の反対を押し切り、ある製薬会社の研究職に就職。希望の職種に就いて、将来は順風満帆に思えたものの、そんな意気揚揚とした日々は長くは続かなかったのです。

研究者は、新薬の開発に成果を上げた者から出世していくため、人間関係はぎすぎすしたもの。研究成果を認めてもらおうと影で上司に媚びを売ったり、同僚と足の引っ張り合いをしている人が少なくなかったのです。私はそんな人間関係に嫌気がさし、次第に必要以上に誰とも口をきかなくなり、孤立していきました。

入社2年目に研究内容を認められたのですが、その研究の一部分が偶然主任のものと少し似ていたため、主任の研究の成果を横取りしようとしているという根も葉もない噂がたちました。弁解しても誰もとりあってくれません。それどころか露骨に嫌味を言われ、針のむしろ状態で、会社に一歩足を踏み入れただけで胃痛がするほどでした。

ストレスから自律神経のバランスを崩すまで、時間はかかりませんでした。ある日、社内で急に立ちくらみがして倒れてしまいました。気がつくと病院のベッドの上で、自律神経失調症と診断されたのです。職業柄名前は聞いたことがありましたが、どうすれば治るのかわかりません。医師に説明を迫ると、
「規則正しい生活を送り、なるべくストレスをため込まないようにしていれば、いずれ治りますよ」
その一言だけ。そんな医師の言葉に、一過性のものだと高をくくったのが間違いでした。

この日から、不定期に訪れるめまいに悩まされるようになりました。一瞬目の前が真っ暗になったかと思うと、血の気が引いていき、その場でうずくまってしまうのです。食欲が失せ、体重も急激に落ちていきました。

こうした症状は仕事面に大きく影響し始めました。いつめまいが起こるか気になり、仕事に全く身が入らないのです。しかも、一日中頭の中が霧がかかったようにぼんやりとし、ミスを繰り返すようになりました。結局、このまま仕事を続けるのは無理だろうとの上司の判断で、私は一ヶ月間の休養をもらうことにしたのです。

しかし、それで自律神経失調症が治ることはありませんでした。この一ヶ月間は何もする気がせず、一日のほとんどを布団の中で過ごすありさまでした。「明日こそどこかへ出かけよう」と思っても、身体に力が入らないのです。そんな生活を一週間も続けると、不眠症になりました。夜やっとの思いで寝ついても、早朝目が覚めてしまうようになったのです。

この時の気分は、一日で一番最悪でした。辺りが明るくなり、新聞が届く頃になると妙に胸が騒ぎ、世界は動き始めたというのに、自分だけ取り残されていくような不安感を覚え、布団にしがみついて涙をこぼしてしまうことも.....。

一ヶ月後。「何とかこの生活から抜け出したい」と気持ちを振るいたたせ、職場復帰した私は、再びめまいと無気力感に襲われ、辞職せざるをえなくなりました。

「これでもう行くところもすることもない。これからどうやって生きていこう」 辞表を出した帰り、ふらりと本屋へ入りました。そして、『自律神経失調症は必ず良くなる』という本を見つけたのです。中身を読んでみると、早起きを中心とした実践療法で病気を克服する方法が詳しく書かれていました。

【治療経過・所感】

購入して一読しても疑いは晴れませんでしたが、将来への希望を失い、何をしたらいいのかわからなくなっていた私は、とにかく何かにすがりたい一心で、翌日から実践療法を始めてみました。 特に力を入れたのは、「ヨーガ」、「自律訓練法」と「内観療法」でした。朝は体調が悪く、夜になると回復するので、夜実践しました。

ヨーガは10個の自律神経の働きを活性化させるポーズで成り立っています。運動不足で硬くなった筋肉には痛みが快感になり、体内で滞っていた血液がスムーズに流れていくような爽快感さえ得られました。

そして、ヨーガで身体の緊張をほぐした後「自律訓練法」をします。これは自律神経をコントロールする力をつけることで、心を調整する訓練法です。最初のうちはうまくいきませんでしたが、続けているうちに身体の緊張がフッと解ける感覚が訪れ、そのまますんなりと眠れる日もあるほど、気分をおだやかにしてくれることもありました。

ヨーガと自律訓練法で心身を落ちつかせた後は「内観療法」に取り組みます。これは、心のバランスを自分でコントロールするための訓練でした。毎日一時間から二時間、家の中で最も落ち着ける場所に座り、両親、兄弟、祖父母、友人などに対して「してもらったこと」「してかえしたこと」「迷惑をかけたこと」について、自分が幼い頃から順々に思い起こしていきます。

自分と周囲の人達との関わりを明確にし、いかに自分が多くの人の支えがあって生きているのかを改めて考える。そうすることで、孤独感や鬱々とした気分、不安な状態から解放され、心に安定を取り戻すことができるという考えに基づいた、メンタル面を強化するための実践療法です。

この「内観療法」を通して気づいたことは、元の職場の人間関係以上に、両親との間にわだかまりがあったことに気づきました。幼い頃から「薬剤師になって店を継いでほしい」と望まれていた私は、いつのまにか自分の人生を両親に勝手に決められているようなプレッシャーを感じていました。薬学部を卒業し、国家試験に合格しながら、最終的に企業に勤めたのは、そんな両親の期待から逃れたいためでした。

しかし、思いおこしてみれば、病気になった今、一番近くで見守ってくれているのは紛れもなく父と母です。仕事の合間に心配そうに様子を見に来る両親を思うと、いかに二人が私のことで心を痛めているのかを感じました。同時に、両親に対して反抗するばかりで、思いやる気持ちを失っていた自分に気づきました。

「やっと経営しているような小さな店で働いている両親を見てきて、自分はもっと大きな舞台で勝負したいと思っていた。そして、両親を心のどこかで哀れんでいたのかもしれない。自分がどんなに大切にされているのかなんて、考えもしなかった」

「内観療法」を通して、いつしか自分の心の奥にくすぶっていた感情とぶつかったのです。すると、両親の気持ちを踏みにじるように就職した自分の傲慢さに気づき、一方で両親に対して素直な気持ちで感謝することができました。

そこまでたどり着いた私は、気分の良い時だけ両親の手伝いをしに店に出るようになりました。そのうちに、ふたりがいかにお客さんの健康を真剣に考え、適切なアドバイスをするために勉強しているかを知りました。お客さんもそんな二人を頼りに薬を買いに来ていました。ただ薬を売っているのではなく、人と人との温もりのある交流が、ここにはあったのです。

私が本当にやりたいことは、大企業の中ではなく、こんなに近くにあったのかもしれない。そう思うと店の経営に本格的に取り組みたくなり、一日も早く病気を克服し、再発におびえる生活から脱しようと、「早起き心身医学研究所」の戸を叩いたのです。

研究所の療法を毎日続けられるようになってくると、早く病気を治したいあまり、つい一生懸命になりすぎ、かえって体調を崩してしまうことがありました。そんな時、担当のカウンセラーの方に、
「焦らずぼちぼちとあなたのペースで病気を克服していきましょうよ」
と声をかけられました。ひとつの目標を立てると、それを達成させるまで突き進んでしまう私は、時には肩の力を抜くことが、心のバランスを保つためには必要であることをこの一言で気づかされたのです。

「心が疲れたら、休めばいい。一歩一歩改善に向かっていければそれで十分だ」
結局、自律神経失調症と診断を受けてから病気を克服するまで、五年もの歳月が過ぎていきました。しかし、時間をかけてじっくりと自分の力で心と身体のバランスを保つ力を身につけた私は、再発におびえることもなくなりました。そして今、
「自慢の息子が店を継いでくれて幸せだね」
とお客さんに声をかけられ、嬉しそうにしている両親の顔を見るたびに、私自身、これまで感じたこともない幸福感を味わっています。

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